家族に誘われ、思い立って休日の午後散歩に出かけることにした。 散歩といっても、今日のテーマは「電車に乗る」だ。 私の中で散歩とは、健康のためではなく、ぼーっと物思いに耽るという意味。 だから、車で出かける散歩もある。
梅雨に入り、木々の緑はますます鮮やかに萌えている。 それが見たくなった。
私の住む東京都下からは、比較的近くに豊かな緑を求めることが出来る。 JRの普通列車で山梨県の大月まで行くことにした。 行き先は別にどこでも良い、車窓から自然が見られればいいのだ。 普通列車はのんびりしていて案外旅情がある。
典型的な梅雨空のなか、暗くなるのは早い。 車窓からは、どんよりとした空の下ではそぐわないほどの濃い緑が流れる。 本来狭い空間のはずの渓谷がやけに大きく見える。 点在する民家の中の息づかいを想像する。 こんな時間が好きだ。 自然の風景はたくましい。示唆に富んでいる。
そんな風景を見ていて、音楽にとってとても重大で良いヒントが見えたような気がしたが、 さて、それはなんだったのか。 そして、とても得をしたような気分になるのだが、はて、何を得したのか。。。 確実に言えることは、フルートが吹きたくなったこと。 そして、明日の練習が楽しみになったこと。 休日はこんな事のためにもあるのだな。
大月駅前には期待通りにほうとう屋さんがあり、もちろん食す。 この地方都市の、駅前の密集した店舗や家屋から受ける印象とは裏腹に静かだ。 静止した力はあるのだな、などと思う。
帰りは特急で。 都会へ向かうに相応しい車両は、機能的で綺麗だが情感を得ることは出来なかった。
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